我が国の木造産業並びに林業、木材産業、地域経済は、人口減少や経済の停滞による国内の木造建築着工戸数の下落、木材需要の低迷に直面しています。企業にとっては、国内の需要拡大に加え、海外事業の展開や販路開拓は喫緊の課題であります。
このような状況を打開するため、木造建築に関わる一部の企業は、プレカット部材の輸出や木造建築の海外展開の取組みを始めておりますが、海外の文化、消費嗜好、商慣習の違いなどのハードルが高く、特に、市場規制、製品・技術規格など、建設の許認可手続き等、個別事業者レベルでは対応しきれない課題も多くあります。
一方、スギやヒノキを利用した部材、製品並びに木造関連の技術、設計、利用法・工法の集大成ともいえる日本の木造建築は、快適で健康的、エコ的であることに加え、高性能、高品質、高付加価値のものとして世界的に注目を集めており、ビジネスのポテンシャルは高いと考えられます。
このような状況の中、我々は、オールジャパンの体制で海外向けの木造建築の普及を推進することが企業の海外展開の支援、国内の木造建築産業や木材産業、地域経済の活性化を図る上で重要であり、海外諸国・地域の住環境の向上、地球環境の保全、持続可能な社会の構築の観点からも重要であると考えました。
こうした考えを基に、我々は令和5年3月8日に「日本木造建築海外推進協議会」を設立し、海外向けの取組みを開始しました。今後、法人格をもって社会的な信頼を高めるとともに、更に日本木造建築の材工一体化の海外向け取組みを図るため、「一般社団法人日本木造建築海外推進協会」の設立に向けて準備を進めていくこととしました。当協会は、企業の主体性を重視しながら、海外市場における日本企業の事業の育成と発展、海外における日本の木造建築の普及、木造建築関連製品の輸出の拡大に寄与することを目的とし、海外における日本の木造建築に係る製品(部材・部品を含む)の利用、設計や施工技術の活用、知見やノウハウの提供を積極的に推進して参りたいと存じます。
以上の趣旨にご理解とご賛同を賜り、特段のご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
2023年11月吉日
設立時社員:青木 謙治(東京大学 准教授)
武本 哲郎(院庄林業株式会社 代表取締役)
都築 寬明(都築木材株式会社 代表取締役社長)
中島 浩一郎(銘建工業株式会社 代表取締役社長)
二村 一久(BXカネシン株式会社 代表取締役)